不動産管理会社とはアパート、マンションなどの不動産オーナーが持っている賃貸物件の管理や保有をする会社のことです。
アパートマンション経営をされている方は収入が増えてくると不動産管理会社を設立するケースが多いのですが、それはなぜなのでしょうか?
多くの場合、不動産管理会社を設立する目的は節税です。主に、所得を個人と法人で分散することで低い税率で課税されることを考えているのです。それ以外にも様々な節税対策を活用することが出来るのです。具体的にどのようなメリットデメリットがあるのでしょうか。ぜひ、参考にしてみてください。
不動産管理会社と一般的な会社の違い
一般的な法人設立には2つの大きな目的があります。それは、
- 事業の発展のため
- 資金的な損得のため
の2つです。しかし、不動産管理会社の設立の場合は、一般的な事業会社と違い、資金的な損得のために(節税のために)設立するというケースが多いです。そのため、不動産会社を設立するメリットは簡潔に言うと、「節税」と言えます。
もう少し具体的に見ていきましょう。
不動産管理会社を設立する5つのメリット
1.法人にすることで税率が下がる
所得税は累進課税(所得が多くなればなるほど税率が高くなる)という課税方式になっています。そのため、個人で不動産経営を拡大していくとどんどん税率が高くなってしまいます。現在の所得税の最高税率は所得が1800万円を超える部分について40%(復興税、住民税等を除く)となっており、平成25年度税制改正によって平成27年分以降は4,000万円超という区分が加わり45%が最高税率となります。
そこで、所得が増えてくると法人税との税率差を考えて法人を設立した方がメリットがあるというケースが出てくるのです。
2.給与所得控除を受けられるため課税対象額を減らす事ができる
不動産管理会社を設立すると法人から給与を受け取ることができ、給与所得控除を受けることができます。そのため、例えば700万円の給与にした場合、年間で190万円の給与所得控除となり、課税の対象になる額は510万円なのです。個人事業の場合は給与所得控除が無いので、その分得することになります。
3.節税対策の選択肢が広がる
法人組織を持つ事で様々な節税対策を活用する事が出来るようになります。具体的には以下のような節税対策があります。
- 役員の定期保険や医療保険を会社で加入する
- 小規模企業共済 (掛金の限度は7万円で全額経費、退職金として扱える)
- 倒産防止共済 (掛金の限度は8万円。全額経費、40か月以上加入で全額戻ってくる)
- 旅費規程の活用 (物件が離れている場合など、活用すれば節税となる)
4.法人税制上のメリットを活用できる
個人は強制償却、法人は任意償却
個人事業の減価償却費は強制償却となっており、償却額を調整することが出来ません。一方で法人の場合任意消却となっており、その年度の償却可能限度額の範囲内で自由に調整することが可能です。
青色申告の損失繰越期間 個人は3年、法人は9年
青色申告をしている個人及び法人が赤字の場合、その赤字を繰り越すことが出来ます。この制度を青色欠損金の繰越控除制度と言います。赤字を繰り越す事によって、次年度以降の所得や利益と相殺することが可能です。そのため、税務上大きなメリットとなります。
5.相続税を節税できる
法人を所有する事によって以下のような相続におけるメリットもあります。
・所得分散による相続財産の増加防止
・納税資金の準備にもなる
法人化することによる4つのデメリット
1.法人設立の費用がかかる
法人設立には諸々の費用がかかります。株式会社の場合約20万円、合同会社の場合約6万円です。
2.赤字でも税金が最低7万円かかる
法人には、法人税の均等割りといって赤字でも毎年おさめなければいけない税金があります。
3.税理士報酬
不動産管理会社設立のメリットは節税のため、税金に明るい税理士の先生を雇う必要があるでしょう。
4.メリットにもなるが社会保険の加入が義務
法人を設立すると社会保険の加入義務も発生します。
まとめ
不動産管理会社の設立には綿密に税理士にシュミレーションを依頼して意思決定し、損得に徹底してこだわって設立を検討するという事業主が多くなっています。 もし、あなたが現在、個人で大家業をしているとしたら一度税理士の先生に相談してみるのも良いでしょう。