事業所得のある個人事業主は原則、年間の収支を申告して所得税を覚醒させる「確定申告」が必要です。
ただし、個人事業主であっても、確定申告が必要ない条件を満たした場合、確定申告が不要です。
本記事では、個人事業主向けに確定申告が不要となる条件、確定申告の義務がない人が確定申告を行うメリット、確定申告で無申告をした際のペナルティについて解説します。
個人事業主で確定申告をしなくてもいい人とは?
開業届を出している個人事業主で、1月1日から12月31日までの年間の総所得が「48万円以下」であれば、その年度の確定申告をする必要はありません。
所得税を計算する際、総所得金額などから差し引くことができる控除の1つに「基礎控除」がありますが、2,400万円以下の場合の控除額が「48万円」と定められているためです。
参照:No.1199 基礎控除|国税庁
ただし、事業所得が48万円以下の個人事業主であっても、次の条件に当てはまる人は確定申告が必要です。
【48万円以下の事業所得の個人事業主でも、確定申告が必要な条件】
条件 |
参照(根拠・法令など) |
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医療費控除や寄付金控除を行いたい |
スマホで確定申告(副業編)(PDF)|国税庁 |
本業以外で行う「副業」での年間の総所得が20万円を超える |
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税優遇のあるNISAを除く株取引で、20万円以上の利益を得ている |
株式・配当・利子と税|国税庁 |
土地や建物の売却での譲渡益や、家賃収入などの不動産収入など、事業以外での所得がある |
No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁 |
公的年金などの収入が400万円以下で、それ以外の所得金額が20万円以下である |
ご存じですか? 年金受給者の確定申告不要制度|政府広報オンライン |
また、確定申告はあくまで所得税に関する手続きです。
所得税の申告が不要な条件に当てはまっても、住民税など他の税の申告は必要な場合は、管轄の税務署や役所の担当窓口にご相談ください。
確定申告の義務がない人が確定申告を行うメリット
確定申告の義務のない人でも確定申告を行うメリットはあります。
まず「確定申告書の控え」を該当年度の収入や所得の証明として求められることがあるため、個人事業主が確定申告をするケースが考えられます。
確定申告書の控えを含め、個人事業主の確定申告の必要書類について詳しく知りたい方は関連記事をご覧ください。
【関連記事リンク】個人事業主が確定申告する際の必要書類とは?確定申告書の控えも解説
また、確定申告でしか申告できない控除がある、という点も挙げられます。
一定の額の医療費がかかった場合に確定申告を行うと所得税などが還付される「医療費控除」や、国や地方公共団体、特定の法人などに寄附をした場合に確定申告を行うと、所得税などが還付される「寄附金控除」などが代表的です。
また、副業で源泉徴収をされる場合にも、所得税の還付を受けられる可能性があります。
個人事業主の副業での確定申告について詳しく知りたい方は関連記事をご覧ください。
【関連記事リンク】個人事業主で副業している人が確定申告で注意すべきこととは?
確定申告で無申告をした際のペナルティ
確定申告の義務がある個人事業主で、期限内に確定申告せず、事前に報告もしていなかった場合、期限後申告として取り扱われ、無申告加算税が課されます。
参照:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁
無申告加算税は納付すべき税額に対し、50万円までの部分は15パーセント、50万円を超える部分は20パーセントの割合を乗じて計算した金額を原則、納付します。
ただし、期限後申告であっても、次の要件をすべて満たす場合には無申告加算税は課されないため、悪質な所得隠しとみなされる非協力的な振舞いをしない限り、申告期限遅れを過剰に心配する必要はありません。
・その期限後申告が、法定申告期限から1か月以内に自主的に行われている
・期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当する
つまり、申告期限を過ぎてからの確定申告は余分に税金を納めるペナルティが発生するため、期限内に必要な手続きを終えましょう。
また、確定申告が遅れる事情がある場合については、所轄の税務署に事前に相談しましょう。
確定申告の基本について詳しく知りたい方は関連記事をご覧ください。
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