会社設立後に創業融資で1,000万円を借りる方法と手順を解説

カテゴリー 会社設立

会社設立後、事業を開始すると、資金繰りに頭を悩ませる経営者は多いです。

資金繰りの苦労をなくすためには、創業融資の正しい考え方を理解しなければなりません。

 

今回の記事では、これから起業・創業を考えている方や、会社を設立したばかりの方にとって、ぜひおさえておいて欲しい日本政策金融公庫の「新創業融資制度」と、その融資を受けるための具体的な手順や方法を解説します。

1.1,000万円を無担保で借りられる日本政策金融公庫の新創業融資制度とは?

日本政策金融公庫は政府系の金融機関で、経済政策の一環として、起業や独立をサポートするための融資制度が豊富です。そのなかでも、新創業融資制度は、これから新たに事業を始める人や、事業を始めて間もない人で、売上げや利益などの実績がなくても、一定の条件をクリアすれば事業資金を借りることができる制度です。

新創業融資制度の概要

    • 融資限度額:3,000万円(うち運転資金1,500万円)
    • 担保・保証人:原則不要
    • 基準利率:2.41%~2.90%(令和3年6月1日現在)

この融資を受けるにあたって特筆すべき点は以下の3つです。

1.1 メリット:無担保無保証で借りられて連帯保証人も不要

民間金融機関から事業用の融資を受ける場合、代表者は原則として連帯保証人になります。しかし、日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用の場合は、原則として代表者の連帯保証人は不要です。もちろん第三者も連帯保証人につける必要がありません。

日本政策金融公庫(政府系金融機関) 信用金庫等(民間の金融機関
代表者の連帯保証 原則不要 原則必要
第三者の連帯保証 原則不要 原則不要
担保 原則不要 原則不要

1.2 メリット:申請後1ヶ月半ほどで融資が降りる

自治体や民間の金融機関での融資(制度融資)の場合、申し込みから融資を受けられるまでに平均で2ヶ月から2ヶ月半ほどかかります。日本政策金融公庫の創業融資の場合は、それよりも1ヶ月ほど早く手続きが終わる場合が多いため、素早い事業展開が可能です。

「認定支援機関」という経済産業省の認可を受けた機関を経由して日本政策金融公庫の融資を申し込むとさらに借りられるまでの時間が短縮できるケースがあります。

 1.3 デメリット:自治体の制度融資に比べると金利が若干高い

日本政策金融公庫の新創業融資は、無担保無保証で借り入れを行うことができるため、自治体の制度融資を利用した金融機関の融資に比べて利率が多少高いケースがあります。

しかし、前述した通り

  • まだ売上や利益実績がなくても事業資金を借りることができる
  • 連帯保証人が不要

という点を考えると、総合的にメリットの多い融資と言えます。

新創業融資制度と制度融資の違いについては下記記事で詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。

創業時の公的融資を受けるならどっち?新創業融資制度VS制度融資

2.どうやったら新創業融資を受けられるのか?

日本政策金融公庫から創業融資を受けるためには、どれだけ事前準備をしてきたか、またどれだけ明確な事業計画を担当者に説明できるかにかかっています。

とくに、クレジットカードやローンなどの返済に遅れがないこと、自己資金を準備していること、創業計画書の出来が重要になります。

本サイトでは、上記の項目から日本政策金融公庫から融資を受けられるか無料で診断可能ですので、審査が気になる方はお試しください。

2.1 どれだけしっかりと準備できたかで融資成功確率は大きく変わる

日本政策金融公庫の新創業融資制度は、一般的に、申請した法人や個人事業主のうち、実際に融資を受けることができるのは5割程度だと言われています。一方で、こうした新創業融資を専門に扱っている士業のなかには、依頼者の9割が融資を受けることに成功しているというケースもあります。

そこで、当サイトでも融資の実行率を高めるための手順を出来るだけ詳しくご説明させて頂いていますが、さらに融資を得る可能性を高めたいなら、融資の実行経験が豊富な認定支援機関に相談するとよいでしょう。

当社株式会社SoLabo(ソラボ)が運営している別サイトで、資金調達の専門家を選ぶためのポイントを解説しておりますので、依頼する場合には、必ず一度ご覧頂いてから依頼するようにしてください。

資金調達の専門家を正しく選ぶための7つのポイント(外部リンクに飛びます)

当社株式会社SoLabo(ソラボ)は、国の認定支援機関として、融資サポート(資料作成代行、面談アドバイス等)を実施しております。これまで支援してきた3,700以上の融資実績をもとに、専門の融資担当者が対応しますので、融資に関して疑問や不安点のある方はご相談ください。相談は無料です。


2.2 日本政策金融公庫の融資担当者に「成功する」と確信してもらうことが重要

当然のことながら、創業融資の審査に通過させるかどうかを決める金融機関の担当者の方も人間です。

つまり、融資審査で大切なのは、その担当者の方が、あなたがこれから起こすビジネスや、経営者であるあなた自身の人柄に魅力を感じ、「この会社は成功する」と判断できることです。そのためには、大げさな数字ではなく、現実に即した堅実なプランを伝えることが大切です。

それでは、次から早速、新創業融資の申請を成功させる方法をお伝えします。

3.新創業融資制度の審査に通過するための申請のポイント

3.1 新創業融資の申請の流れ

まず最初は、申請の流れを把握しておきましょう。新創業融資の申請の流れは以下のようになります。

新創業融資の流れ

3.2 必要書類の準備

日本政策金融公庫の新創業融資制度で必要な提出書類は以下の通りです。

    • 借入申込書・創業計画書一年目の売上や費用の推移計画
    • 業績推移表
      創業計画書に事業の見通しを記載する場所がありますが、より詳細な情報として、業績推移(月々の損益がわかる資料)をエクセルなどで見やすく書き換えたものを作成しておくと良いでしょう。
    • 通帳原本
    • 個人の確定申告書又は源泉徴収票 2年分
    • 事務所の賃貸借契約書
    • 借入金がある場合は、支払明細書
    • 許認可が必要がご商売の場合には、営業許可書
    • 設備資金のお申込の場合は見積書

履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)

    • 取得方法は

コチラ

    で解説しています。

  • 担保をご希望の場合は、不動産の登記簿謄本または登記事項証明書
    同上
  • 生活衛生関係の事業を営む方は、都道府県知事の「推せん書」または、生活衛生同業組合の「振興事業に係る資金証明書」

このなかで特にしっかりと準備する必要がある資料が「創業計画書」です。創業計画書とは、事業初年度にどれぐらいの売上と費用が出るのかをまとめたものです。書式は日本政策金融公庫指定のものを使用する必要があります。日本政策金融公庫の下記リンクよりダウンロードしてください。

> 創業計画書の雛形ダウンロード

また、創業計画書を書く前に、日本政策金融公庫のホームページに掲載されている業種別創業の手引を読んでおくことをオススメします。

融資を受けたい方はもちろん、これから独立・起業を目指している経営者予備軍にとって、非常に役立つ経営知識や売上戦略の立て方、業種別の創業ポイントなどがまとめられています。これらのページにしっかりと目を通してから創業計画書を作りましょう。

創業計画書を書く際に特に気をつけるべき点は以下の通りです。

①売上の根拠を明確にする

創業計画にとって最も大切なのは販売計画です。そのため、あなたがどのような商品やサービスを売っていたとしても以下の7つの点を明確に伝える必要があります。

BtoBビジネスの場合は、取引先や、商品品目、単価、数量、納期をしっかりと示し、計画通りに売上が推移することが伝わるように書きましょう。もし、既に契約書や発注書などがある場合は、そちらも添付書類として用意しておきましょう。BtoCビジネスの場合は、目標売上を達成するために必要な、客単価と回転率を達成することができる明確な根拠を伝えましょう。

②売上を達成するために必要な金額とその用途を明確にする

次に、①で示した売上を達成するために必要な人件費や設備費、店舗改装費などを明確に示しましょう。設備を購入したり店内を改装するのであれば、いくら必要なのかが明確になるため見積書が必要です。また、1ヶ月の仕入れや人件費などのランニングコストの内訳と金額の根拠も明確に書くようにしましょう。そして、ランニングコストを賄うために、常に会社を何ヶ月分営業できる資金を手元に置いておかなければいけないかも明確にしておかなければいけません。

※売上計画や原価、人件費等の計算方法に関して、日本政策金融公庫より『売上高の計算方法について』という資料が用意されています。必ず確認しておくようにしましょう。

③自己資金の準備

日本政策金融公庫の新創業融資の審査を通るに当たって、自己資金をいくら用意しているかという点は、審査において重要な項目のひとつです。例えば、自己資金がゼロなのに融資を受けたいというような甘い考えでは、ほぼ通りません。あなたが事業を始めるに当たってコツコツと貯めて来た自己資金が多ければ多いほど、「この人は自分の事業に熱意を持っている人だ。」と思われます。

自己資金を用意した上で、いくらの融資があれば事業を確実に回すことができるかをしっかりと考えて、融資希望額を決めるようにして下さい。

自己資金については下記記事で解説しています。

融資を受ける際の自己資金の必要性とは

創業計画書の業種別の記入例をチェックしよう

日本政策金融公庫のホームページで、業種別の創業計画書の記入例が公開されています。

また、『創業計画Q&A』にも必ず目を通しておきましょう。

創業計画書の作成方法については下記記事で解説しています。

融資を受ける際に提出する創業計画書。その作成方法をチェック!!

3.3 融資の申込み

創業計画書や必要書類を用意したら、開業の1ヶ月〜3ヶ月ほど前に融資の申し込みを行います。また、法人の場合は、申請にあたって会社の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)が必要となります。融資の申し込みの2週間ほど前から会社の登記を始めておきましょう。(参考:『株式会社設立|始めての人でも1週間で会社を作り起業する為の全手順』)

さて、申し込みの際は、借入申込書を書く必要があります。下記の日本政策金融公庫のページから借入申込書の雛形をダウンロードしてください。

申込は、会社の本店所在地の近くにある日本政策金融公庫の支店で行います。こちらのページで近くの支店を調べておきましょう。また、申込の手続き等に関して分からないことがあれば、日本政策金融公庫の事業資金相談ダイヤルに電話をかけると色々と教えてもらえますので上手に活用しましょう。

3.4 審査面談

申込の後、1週間ほどで融資の審査面談が行われます。融資の審査担当者は、あなたに直接会って創業計画書の信憑性を確認するとともに、あなたの人間性も見極めようとします。従って、面接で全てが決まると思って望んで下さい。

①面談の注意点

簡潔ですが、面談に臨む上での注意点は以下の通りです。

  • 審査担当者に否定的なことを言われても絶対に引き下がらない
  • しっかりとした根拠と自信、熱意を持って伝える
  • 清潔感のある身だしなみで臨む

②面談時に完璧に答えられるようにしておくべき8つの質問

また、特に以下の質問には、“明確な根拠をもって”完璧に答えられるようにしておいて下さい。これらの質問に対して自信を持って、すぐにロジカルに答えられるようなら何を聞かれても大丈夫でしょう。

      1. 創業動機は明確か?
      2. 創業する事業について経験や知識はあるか?
      3. 事業を継続していく自信はあるか?
      4. 家族の理解はあるか?
      5. 創業場所は決まっているか?
      6. 必要な従業員は確保できるか?
      7. 事業のセールスポイントは何か?
      8. 売上高や利益の予測は完璧に答えられるか?

特に、「なぜその金額が必要なのか」を具体的な数字やデータに基づいて回答できるように準備しておきましょう。それを裏付けるために、書類にきちんと収支計画・資金計画を盛り込んでおくのが重要です。

日本政策金融公庫の面談で必ず聞かれる質問に関しては下記記事で詳しく解説しています。

日本政策金融公庫の面談で必ず聞かれる質問とは

3.5 現地調査

既に事務所や店舗を開いている場合、面談後に審査担当者が、事業の活動状況を見るために現地(事務所や店舗)に調査に来ます。(※現地調査はない場合もあります)ここでのポイントは一つだけです。それは、活気がある会社であることを担当者に分かって頂くことです。

  • 事務所や店舗には表札や看板をしっかりと用意し、
  • 従業員は礼儀正しく元気良く働き率先して審査担当者にスリッパを出し、
  • 電話のマナーも完璧で、
  • お茶だしのマナーも心得ている

というように活気のある会社として当たり前の動きができるようにしておきましょう。本気で融資の獲得を目指しているなら、日頃から妥協せずにしっかりと取り組みましょう。

3.6 融資の実行

融資審査に通過すると、融資が実行され、無事借入金が着金されます。申込から着金までに期間の目安は、大体1ヶ月から1ヶ月半ほどです。

4.まとめ

日本政策金融公庫の新創業融資制度は、これから起業する方や、会社設立し事業を始めたばかりの方にとっての資金調達の手段としてとても有用なものです。カードローンやキャッシングと比べても、低金利かつ良い条件で融資を受けられるからです。

創業融資に申し込む上で、全ての要素を完璧に用意できるケースは稀です。従って、多少足りない点があったとしても、「自分は必ずこの事業で成功する」という信念が大切です。そして、その思いを審査担当者に、ロジカルに熱意を持って伝えることが重要です。一般的に、日本政策金融公庫の創業融資は、カードローンやキャッシングなどの高金利なものと比べると借り入れの難易度が高いと言われていますが、その他金融機関や保証協会からの融資を断られ、不退転の決意で新創業融資に申し込んだ結果、融資を成功させた事例もあります。

何を言われても、絶対に最後まで諦めないという強い気持ちを持って臨みましょう。それは会社経営者にとって何よりも大切な資質です。

「資料の作成時間がない」「融資のプロに資料作成を頼みたい」「面談のアドバイスが欲しい」という方は、ぜひ当社株式会社SoLabo(ソラボ)にお問い合わせください。相談は無料で承っております

この記事を書いたライター

ソラボ編集部

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