会社を経営していれば、業績が良いときもあるでしょうし、逆に業績が悪いときもあるでしょう。
経営不振が続くと最悪倒産…ということもあり得ます。
では、企業が経営不振に陥る原因には何が挙げられるでしょうか?
また、最悪の事態を避けるために事前にできる対策とは何がご紹介します。
1.企業が経営不振に陥る原因ベスト3
実際どのような理由から倒産してしまう企業が多いのでしょうか?
過去に倒産した企業の倒産理由から、企業を経営していくうえでのリスクを確認していきましょう。
中小企業庁の倒産状況調査によると、「販売不振」が圧倒的に多いです。
次いで、「既往のしわよせ」「放漫経営」が原因として多い傾向にあります。
個別に詳しく説明していきましょう。
(1)倒産理由第1位 販売不振
全体の7割を占めているのが販売不振による倒産です。売上が立たないということですね。
売上がなければ、当然資金繰りは苦しくなりますので企業を存続することが難しくなってしまいます。
販売不振となる要因は次のようなケースが挙げられます。
まずは、競合の出現により仕事を取られている場合です。
今は違う業種であっても新規事業へ参入する企業なども増えています。
また、人件費などの削減から、商品やサービスの価格を下げることが可能になり格安をウリにした企業も出てきました。
こうした企業との価格競争に負け、顧客を取られてしまうこともあるでしょう。
次に風評被害による売上の低下です。
SNSが普及したことにより、最近飲食店などの不適切動画が問題になっていますよね。
一度落ちてしまった信用は回復するまでに時間がかかりますので、そのまま倒産してしまう可能性もあります。
他にも自分の会社に原因がなくても、取引先の業績不振により取引がなくなったことで売上が落ち、販売不振に陥ることも考えられます。
特に大口の顧客に依存している場合には、注意が必要です。
取引先をいくつか持っておくことで、リスク分散しておきましょう。
(2)倒産理由第2位 既往のしわ寄せ
既往のしわ寄せとは、経営状態が悪いにもかかわらず、何も対策を取らないまま、会社の資産を食い潰していくことで倒産に陥ってしまうことを言います。
気づいたときには時すでに遅し、という状態ですね。
経営計画に基づき業績推移を把握することやキャッシュフローの動きを把握することができていない会社は要注意です。
「年々売上が下がっているな」「売り上げは変わらないはずなのに資金繰りが悪いな」など、感じることはあるもののそのうち何とかなると先延ばしにしていませんか?
まずは原因を明らかにするために現状の分析をすることが大切です。
原因が分かったら、重要かつ緊急度の高い項目から改善を図っていきましょう。
(3)倒産理由第3位 放漫経営
本来であれば会社経営をうまく回すために尽力するはずの経営陣の経営能力が低く、管理体制が整っていないことで会社が私物化されてしまい、倒産に陥るケースです。
規模の小さな中小企業や社長によるワンマン経営の会社などによく見られます。
景気が良く業績も良いからといって必要以上に経費を使ってしまうと、当然ですが会社のお金はなくなってしまいます。
会社経営のために新規取引先の開拓や人材育成、設備投資など、経営者が考えるべきことはたくさんありますので、仕事に対して真摯に取り組みましょう。
2.データから見る企業の倒産率
では実際、どのくらいの企業が倒産しているのでしょうか?
株式会社東京商工リサーチの「全国企業倒産状況」によると、2018年度の倒産件数は8,111件となっています。
金融機関が積極的に取引先への支援を行ったことを背景に、5年連続で倒産件数は1万件を下回っており、前年度と比べてみても3%減という結果です。
ただし、業界別に見ると、飲食業や老人福祉・介護事業などを含むサービス業や運輸業、情報通信業においては倒産件数が増加。
一方、建設業や製造業、小売業など他の業種においては減少と業種によって明暗が分かれる結果となりました。
次に中小企業白書に掲載されている企業の生存率の統計データを見てみましょう。
10年後に倒産している企業が3割、20年後には約5割の企業が倒産しています。
継続して事業を行っていくのは非常に困難であるということが見て取れますね。
3.倒産の原因から学ぶ4つの対処法
(1)売上減少の原因を見極め、早期対策を講じる
前述したとおり、売上が下がる原因はひとつとは限りません。
競合他社に顧客を奪われているかもしれないですし、消費者のニーズへの対応ができていないことかもしれません。
また、会社の内部に問題があり、人手不足や機械の老朽化による生産性の低下が原因ということも考えられます。
原因を把握したら、次に対策を練りましょう。
例えば、消費者ニーズに対応ができていないのであれば、新商品を開発したり新規事業を立ち上げたりするのもひとつの手です。
(2)前年同月比や前期比など定期的に売上や経費、純利益などを比較して分析する
経営計画を立てているかと思いますので、計画と実績の乖離はないか、差が大きい場合には原因はどこにあるのか、毎月確認しましょう。
また、月ごとに売上に波のある業種の場合には、前年の同じ月の数値と比較することで実績に違和感がないか確認することができます。
(3)無駄な出費は抑え、いざというときのために資金を蓄えておく
会社を成長させるためには設備や事業に対する投資が時には必要になりますが、無駄な出費は控えましょう。
業績が良いときこそ気を引き締めた経営を行い、万が一業績が悪くなっても慌てず対処できるように資金を蓄えておくことが大切です。
(4)金融機関などから資金調達する
今は資金繰りに困っていないから、とお金を借りる必要がないと考える経営者の方もなかにはいらっしゃいますが、業績が悪くなってから融資を受けるのは非常に難しくなってしまいます。
そのため、比較的融資の受けやすい創業時や創業して間もない企業であれば利用できる創業融資で資金調達することをおすすめします。
すでに事業を長年行っており創業融資を利用できない場合であっても、資金調達の手段はありますので、資金が必要になるタイミングに間に合うように行動に移すことが大切です。
まとめ
企業が経営不振となる原因は倒産理由からも明らかです。
売上が減っているのであれば、新たな商品やサービスを検討したり、キャンペーンを打つなどの施策を行ったり、経営不振に陥っている原因を分析し早めに対策を取る必要があります。
また、安定した経営を行うには、計画的な資金調達も重要です。
ご自身の事業を長期に渡って継続していくために正しい対処を行っていきましょう。