前回の記事で、事業計画書を作成する際に意識する点や採点方式についてご紹介しました。
しかし、募集要項から割り出した審査項目が合っているか不安になってしまう方も多いのではないでしょうか。
今回は、事業計画書の構成と、より具体的な書き方のポイントをご紹介します。
必ず書くべき内容は?
事業計画書は、主に以下のような内容で構成されています。
まずは箇条書きでもいいので、簡単に自分の言葉で説明してみましょう。
- どのような業種・業態か。
- どのターゲットに向けた、どのような商品(サービス)か。セールスポイントは何か。
- 市場規模はどれくらいか。
- 現在、ターゲットにとって満たされていないニーズは何か。
- どのような取り組みによって商品(サービス)をターゲットに提供するか。
- 本事業はどのようにしてターゲットのニーズを満たすか。
制度によって様式の違いはありますが、それらの内容を以下の項目に細分化して説明したものが、事業計画書です。
- 事業計画名
- 事業の概要
・自己紹介:経歴と強み
・事業化の動機・背景
・ビジネスモデルの概要
・本事業の収益性の概要 - ターゲット、市場規模(概算)
- ターゲットニーズ
- 現状の課題
- 本事業での解決
- 本事業において必要な設備等
- 事業投資の具体的な目標
- 他社との差別化
- 市場規模
- 販路拡大方法
- 実施体制
- 損益計画
その事業に「説得力」はあるか?
事業計画書にはこれらの項目をすべて盛り込む必要があります。
そして、その中でも特に注力すべき項目があります。
日本政策金融公庫の創業融資である「新創業融資制度」と「新規開業資金」の要項を見ると、どちらにも共通した条件があります。
- 現在の企業に継続して6年以上勤務している、または現在の企業と同じ業種に通算で6年以上勤務しており、新たに始める事業も同様の事業である。
- 大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上勤務しており、その職種と密接に関連した業種の事業を始める。
新しい事業を始めようとしている人が、その業種に関する経験があるかどうか。
これは重要なポイントです。
たとえば、
「飲食店で10年間調理師として勤めているうちに、もっと素材を活かしたメニューを作りたいというこだわりが強くなった。
試しに地域のイベントに出店したところ行列ができるほど好評で、地元の人から店を出してほしいと言われたため、独立開業を決意した」
このような経緯であれば、調理師としてのキャリアがあり、客が入ることも予測できるので、安心してお金を貸すことができます。
逆に
「これまでホームページ制作会社でグラフィックデザイナーとして働いていたが、飲食店を開業することになったので、お金を貸してほしい」
という人に対しては「その事業は成功するのか?」と疑問がわきます。
しかし、そのグラフィックデザイナーが飲食店のホームページ制作を主に担当していたのなら、話は別です。
たとえば、
「飲食店のホームページ制作を主に担当していて、これまで50件以上の飲食店の店長と経営に関する深い話をしてきた。
どのようなコンセプトの店が繁盛するのか、どのようなメニューにリピーターがつくのか等、実例に基づいたデータを作成していたところ、ちょうど独立を考えていた調理師に誘われ、一緒に新しい店を作ることにした。
その調理師は雇われていた店で仕入を任されていたこともあり、地元の農家を中心に、全国各地に仕入れ先を持っている。
年に2回の地域のイベントに個人的に出店しており、素材を活かした味が客に好評で、早く店を出してほしいと言われていた」
このような経緯であれば、現職がグラフィックデザイナーだとしても「飲食店を開業して、利益を出す」という計画に説得力が出てきます。
日本政策金融公庫の創業計画書には、1番目に「創業の動機」、2番目に「経営者の略歴等」を記入する欄があり、3番目にようやく「取扱商品・サービス」欄が出てきて、商品やセールスポイントの説明になります。
創業動機は、単に「○○がしたい」という情熱だけではいけません。
会社を作るということはその事業を成功させる自信があるということであり、その根拠となるのが経歴です。
どの制度でも、この部分に100点満点のうち3割は点数が割り振られているものと考えて、説得力のある内容を記入しましょう。
質問にもしっかり答えられるように
その他、審査で重視されるのは事業内容に「革新性」があり、かつ「実現可能」であることです。
たとえば面接では、次のような質問をされます。
「この事業はどれだけの利益が見込めるのですか。その根拠は?」
「この事業のメインターゲットは誰で、ターゲットにはどのようなニーズがありますか?」
「競合となる会社はどこですか? その会社とどのような違いがありますか?」
「融資は何に使いますか?」
「向こう3年間の売上・利益目標はどれくらいですか?」
「事業資金はどこから調達しますか?」
「この事業遂行の根拠となる資源・強みは何ですか?」
このような質問に答えるときは、事業計画書や収支計画書の内容と矛盾しないよう、しっかりと説明をすることが大事です。
利益とその根拠について→「2.事業の概要」
メインターゲットやニーズについて→「3.ターゲット、市場規模」「4.ターゲットニーズ」
競合となる会社、差別化について→「9.他社との差別化」
融資の用途について→「13.損益計画」
3年間の売上・利益目標について→「13.損益計画」
事業資金の調達先について→「13.損益計画」
事業の強みについて→「2.事業の概要」
日本政策金融公庫の融資の際は、税理士など専門家の同席が可能です。
日本政策金融公庫の担当者によっては、税理士事務所に来て面談をしてくれることもあります。
しかし、事業内容は経営者自ら説明しないとマイナスの評価となってしまいます。
保証協会付融資のときは、税理士などの専門家は同席できません。
専門家に頼るのではなく、できれば何回も面接のロールプレイングを行い、わからないことがあれば必ず確認をして、すべての疑問を解消しておきましょう。
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